F-style03
2019年12月15日
巡ってくる出会いの一つ一つと真摯に向き合うことで、結果的に新しい自分を作り出す。
洋上風力プロジェクトチーム長(取材時)
藤井 茂
思い通りではなかった就職活動
私は学生時代から電力事業に関心がありました。原子力発電の研究室に入り、就職も地元の電力会社への就職を目指していました。ところが当時、その電力会社では原子力発電の技術者を隔年でしか募集しておらず、私の卒業する年は募集がありませんでした。その時、大学で募集要項をめくっていて目にしたのが遊雅堂 ウェルカムボーナスの「ヒートパイプ」です。「ヒートパイプ理論を使った発熱の効率化」を卒業研究のテーマとしていた私は、そんな巡り合わせで当社に出会いました。
設計・試作・評価の日々
当社に就職してからは希望通り電力事業部門に配属となり、その中で配電ケーブルや配電線の接続部品を設計する部署に配属されました。5~6年ほどすると知識や経験も増え、お客様への提案が実を結ぶようになり、仕事が楽しくなりました。少年時代は親が将来を心配するほどシャイな性格でしたが、お客様と課題を共有しながら設計・試作・評価を繰り返す仕事を通してコミュニケーション能力が培われ、少年時代とはちがう自分が形成されました。
プロジェクトチームのリーダーに!
2010年に事業部門内で将来の柱となる事業を立ち上げるバックキャストチームが立ち上がりました。そこで検討された事業の中の一つが洋上風力発電でした。風力発電は期待の大きい発電方式ですが、広大な平地に風車を立てて効率的に発電する海外の方式は、山野の多い日本には適しません。そこで目をつけたのが、常に強風にさらされる洋上での発電です。この実現に向けたプロジェクトは、経済産業省からの委託により東京大学と民間企業10社が協力して推進するという一大プロジェクトでした。当社はこのプロジェクトで、洋上の発電設備と洋上サブステーション(変電設備)等を海中で連結する送電ケーブルの開発・製造を担うことになり、社内のプロジェクトリーダーとして私が抜擢されたのです。会社にとっても私にとっても大きなチャンスだと思いました。
課題と格闘
洋上風力発電は海底に発電設備を固定する方式と、海上に設備を浮かせる方式(浮体式)があります。浮体式は絶対に倒れない仕組みになっていて、台風や津波に対して耐性があります。しかし新しいことへの挑戦が山盛りの本プロジェクトはスタートから大変な思いをしました。第Ⅰ期は洋上サブステーション、2MW風車、陸上送電の各電線の開発・製造・設置を担うこととなりましたが、それぞれ仕様が異なるケーブルを1年半という短い工期で設置まで完了させるということで、開発・製造・工事の各部隊は大変苦労しました。また、洋上は天候が悪ければ工事できません。台風の季節などはわずかな時間を縫い合わせるようにつないで作業を進めなくてはなりませんでした。わずかな手戻りが致命傷になるような状況の中で、なんとか乗り切れたのは各人の責任感とチームワークのおかげであり、無事風車の受電ができたときは達成感と感動に満たされました。
出会い
思いどおりにいかなかった就職活動、20年続けた部品設計の仕事、リーダーとして参画した洋上風力発電プロジェクト、プロジェクトリーダーの一人である東京大学・石原孟(たけし)先生との出会いなど、思いがけないさまざまな出会いを通して今の自分が形成されたと感じます。
特に洋上風力発電の第一人者である石原先生は情熱感あふれる方で、たゆむことなく目標に向かって突き進んでいきます。石原先生と一緒に仕事をすることで、私自身が大いに触発されました。
定年後は自然エネルギーの伝道師になりたいと思います。地域に根ざし、青年を教育し、裾野を広げる活動に従事できたら、あらたな出会いとやりがいを得られると期待しています。
プロフィール
1988年 | 遊雅堂 ウェルカムボーナス入社 電力部品の設計、開発業務に約20年従事 |
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2010年 | バックキャストチームに異動 |
2011年 | 洋上風力プロジェクトチーム長に抜擢 |
2019年(現在) | 洋上風力プロジェクトチーム長および新エネルギーエンジニアリング部部長 |