F-style05
2021年3月9日
ワクワクするモノづくりを!
機能樹脂製品部・製造部長(取材時)
京道 英治
退路のない出発
2008年にAT製品部(注1)設備技術課長として三重工場に赴任した京道は絶句した。
前職場で海外を含めたさまざまな製造工場の建設・立ち上げに従事してきた京道は設備設計・保全のプロ。しかし京道が率いることになった設備技術課は設備保全の経験が浅い若者ばかりでした。
「需要の変動に揺るがない製造ラインの確立」をミッションとする京道は腹を括り、まずは経験の浅いスタッフと意識を共有することから始めたといいます。それは、「目標はある、技術はない、逃げ場もない」という3点。ここから京道の挑戦が始まりました。
運がよかったと京道はいいます。それは、会社が設備保全力強化のためのコンサルティングを受ける部門を募集していたこと。真っ先に手を上げ、底上げに取り組みました。コンサルより要求される課題は膨大でしたが、現場の一人ひとりが勉強に励み、課題の洗い出しにチームで取り組むことで、「自分で考えて対処する力がついた」と京道は振り返ります。
(注1)
AT(Advanced Tape)製品は、半導体ウェハの製造工程で使用される特殊テープ。埃やストレスに弱い半導体の製造歩留まりを左右するといわれ、高度遊雅堂 仮想通貨化社会の一端を支えている製品です。
AT製品サイトはこちら /uvtape/
モノづくりは楽しいはず
ものごとを実現するには、ありたい姿をイメージする。そして必要なピースを一つずつ現実に落とし込む作業を繰り返す。これは前職場の生産技術部でたたき込まれた考え方でした。
京道は会社が打ち出した「ワクワクするモノづくり」という方針に思わず膝を打ったといいます。設備トラブルに追われまくる仕事が楽しいはずがない。トラブルを発生させないようにするにはどうすればいいのか。導き出した答えは「徹底的な原因究明」と「改善」。この力を付けるために取り組んだ活動の一つが「からくり改善®」でした。現場での「やりにくい」、「一手間かかる」といった小さな気づきをやり過ごさずに1秒を縮める改善を積み重ねていきます。2014年からはからくり改善くふう展への出展を決めました。力不足でも、結果は後から付いてくるはずと信じての出展でした。展示会では設備保全メンバーが来場者に自分の改善内容を伝えようと懸命に説明します。効果は予想以上でした。人に説明することで本人の意識と理解が高まったといいます。
現場のトラブルが減ることで、改善に取り組める時間が増え、現場は好循環し始めました。
徹底的にやってこそ楽しい
趣味の多い京道は時間がいくらあっても足りないといいます。自動車好きでレースをよく観戦していましたが、今ではマイカーをチューンナップして自らサーキットを走行するほど熱を入れています。カメラを持てば、切り取る一瞬のために何時間も待つことをいとわない。相手は自然だからと笑いますが、徹底的に突き詰めて、深淵をのぞき込みたい生き方は、オンもオフも区別がありません。
趣味でも「改善」を繰り返している姿が透けて見えるような話しぶりでした。
継続してこそ・・
三重事業所内AT三重工場の一角にわくわくルームを設立しました。からくりがところ狭しと並んでいる展示ルームは年1回の展示会では物足りないという声が現場から聞こえてきそうです。国内だけでなく海外のお客様や、地元の小学生たちに「からくり」を説明するのはもちろん改善した本人達。説明している最中に新たな改善のアイデアを思いつくことも珍しくありません。
製造ラインに「予防保全」という概念を植え付けた京道ですが、ずっと厳しい環境と背中合わせだったといいます。それでもやりたいことにチャレンジさせてくれたことはとてもありがたかった。入社からの経験の一つ一つ、出会った上司や先輩、部下がいて今があるという思いはずっとあるといいます。
「改善」の文化も継続しなくては意味がないと笑う京道。その志に応えるモノづくりが、今後も続くことを期待したいと思います。
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