日本で初めて無酸素銅「C1011」のJIS規格を取得
~無酸素銅の最高JIS規格の認証取得(認証機関による第1号)~
当社は、無酸素銅の中で最高規格の電子管用無酸素銅「C1011」(注1)の認証を日本で初めて取得しました。今回の認証取得によって、高純度な無酸素銅をお客様に「より安心して」お使い頂けるようになります。
(注 1)C1011;JIS H 3510 「電子管用無酸素銅の板, 条, 継目無銅管, 棒及び線」
背景
近年、ハイブリット自動車(PHV)、電気自動車(EV)の普及や、風力発電や太陽電池パネルなどの設置に伴い、それらに使用されるパワーデバイス部品や電子部品は、今後とも高性能化が進むと見られており、安全性の面からも「熱問題」は軽視できなくなっています。
当社が製造する高純度の無酸素銅は、世界トップレベルの高い導電性、熱伝導性、非磁性が特長で、さらに電子管用無酸素銅「C1011」は、純銅の中でも最高の導電性と熱伝導性を誇り、高性能な電子部品や光海底ケーブルの遮蔽材などの様々な用途としても使用されています。
内容
このたび当社は、無酸素銅の中で最高規格に規定された電子管用無酸素銅「C1011」の認証(JIS H 3510)を取得しました。今回の認証取得は、第三者認証機関によって行われた日本国内1号になります。
当社は2003年に稼働を開始したシャフト炉を用いて無酸素銅を製造しており、これまでも同等の成分規格で製造していましたが、今回のJIS認証取得を契機に、鋳塊から各種製品までの一貫生産と厳格な工程管理を実施していることを改めて内外に示すことが可能になりました。
今後とも当社は、世界トップレベルの純銅特性を有する無酸素銅のリーディングメーカーとして、お客様に選び続けられ、同時にパートナーとしてのお役にたてることに努めて参ります。
成分解説
不純物比較表
C1011 | 製品(注2) | C1020 | |
---|---|---|---|
Cu | ≧99.99 | ≧99.99 | ≧99.96 |
Pb | ≦0.001 | <0.0001 | NS |
Zn | ≦0.0001 | <0.0001 | |
Bi | ≦0.001 | <0.0001 | |
Cd | ≦0.0001 | <0.0001 | |
Hg | ≦0.0001 | <0.0001 | |
O | ≦0.001 | <0.0003 | |
P | ≦0.0003 | <0.0002 | |
S | ≦0.0018 | <0.0004 | |
Se | ≦0.001 | <0.0001 | |
Te | ≦0.001 | <0.0001 | |
H | NS | <0.0002 |
(注 2)製品;当社シャフト炉による無酸素銅製品の代表値
NS;規格無し
同じ無酸素銅の「C1020」と比較して、今回JIS認証を取得した「C1011」は銅純度99.99%以上の4Nと共に、10種類の元素の不純物規定がありますが、いずれも規格を満足しています。
当社が製造する「C1011」の酸素(O)量は、JIS規格で規定されている≦0.001%より十分低い0.0002%であり、且つ、溶解鋳造時の水素制御により水素含有量もほとんど無いため、いずれからも「水素脆化」も起こす懸念もなく、ロウ付や様々なガス溶接などで高い「接続信頼性」を確保できます。また、ガス放出が極めて少ないため、高真空用途にも最適な材料です。
一方、極めて高純度のため残留抵抗比(RRR)(注3)は≧350(特級≧500)を示し、ASTM-F68規格の最高グレード「Grade-1」に対応可能です。このため、超電導ケーブルの安定化材や加速器用電子管の部材など、極低温で高性能を要求される用途にも安心してお使いいただけます。
(注 3)残留抵抗比(RRR);Residual Resistivity Ratio
低温(4.2K)での電気の通り易さの指標で値が高いほど高純度を示します。
通常のC1020はRRRが二桁程度です。