半導体の品質向上に大きく貢献、新型「半導体用テープ」の開発に成功
〜「レーザーグルービング(溝加工)+プラズマダイシング工法」向け部材として本格量産開始〜
当社は、「レーザーグルービング(溝加工)+プラズマダイシング工法」(注1)向けの新たな半導体用テープ「プラズママスク付きバックグラインド(BG)テープ」及び「エキスパンド分割用ダイシング・ダイアタッチフィルム(D-DAF)」の開発に成功しました。電子機器の高機能化が進む中、半導体の品質向上に貢献する製品として、2017 年度下期より本格的な量産を開始します。
背景
半導体は、家電製品から携帯電話、社会インフラ、自動車分野まで幅広い分野で使用されており、日常生活には欠かせない存在になっています。特に近年、スマートフォンなどの高機能化のニーズにより高集積化が進み、半導体チップを何層にも積層した半導体部品が搭載された電子機器が相次いで開発されており、半導体チップの更なる薄化が求められています。このような薄化の要求により、半導体ウェハーは更に薄膜化する必要があり、これを実現すべく様々な製造方式が提案されています。特に半導体ウェハーから半導体チップ毎に切断する製造工程(ダイシング)では、プラズマを照射して切断する「レーザーグルービング(溝加工)+プラズマダイシング工法」が機械的な加工方式に比べて歩留や品質面で優れており、今後はこの方式が世界的にも主流になるとみられています。
(注 1)レーザーグルービング(溝加工)+プラズマダイシング工法;パナソニック ファクトリーソリューションズと東京精密の協業によるダイシング工法。ウェハーのストリート部にプラズマを照射しガスエッチングにて除去するドライプロセスのダイシング方式。機械的な加工がないため、従来方式(メカニカルダイシング方式)に比べて歩留や品質向上に優れる。使用するガスの種類により切断対象を選択可能。
内容
このたび当社は、「レーザーグルービング(溝加工)+プラズマダイシング工法」向け部材として、新たに半導体用テープ「プラズママスク付きバックグラインド(BG)テープ」及び「エキスパンド分割用ダイシング・ダイアタッチフィルム(D-DAF)」の開発に世界で初めて成功しました。
「プラズママスク付きバックグラインド(BG)テープ」は、半導体ウェハーのバックグラインド時のウェハー表面保護機能及びプラズマ照射時におけるウェハー表面保護機能の両方を併せ持つテープです。バックグラインド(以下、BG)工程(注2)においては通常のBG テープと同様に半導体ウェハーの薄膜化研削ができ、更にBG 後はBG テープのみを剥離し、ウェハー表面にプラズママスク(注3)の層を残す事で、プラズマ照射から表面を保護するためのマスク層を形成します。このプラズママスク層は、プラズマダイシング時のエッチング用ガスに対する耐性を持つため、プラズマダイシング時はマスク層としてウェハー表面を保護します。又、プラズマダイシング後、ガス種を切り替える事で耐性が無くなるため、完全に除去する事が出来ます。
「エキスパンド分割用ダイシング・ダイアタッチフィルム(D-DAF)」は、プラズマ照射による切断後に、ダイシングテープをエキスパンドする事でダイアタッチフィルム(以下、DAF)を分割(注4)します。DAF 分割性が良好なため、容易に半導体チップ+DAF のピックアップを可能とします。
いずれの製品もBG テープラミネート~BG テープ剥離、エキスパンド分割~ピックアップ工程における装置は、従来のものがそのまま使用できます。
(注 2)バックグラインド(BG)工程;ウェハー裏面側を所定の厚みになるまで研削する工程。
(注 3)プラズママスク;プラズマ照射時にパターン面が損傷を受けないように保護するためのマスク。
(注 4)エキスパンド分割;プラズマ照射による切断後のウェハーを360°方向に伸長させて、ピックアップなどを容易にする工程。
特長、データスペック
1. プラズママスク付きバックグラインドテープ
- BG テープとプラズママスクの複層構成となっており、BG 工程後はBG テープとプラズママスクの界面から剥離する事が可能です。
- 形状はロール状であり、長さは100m/巻が基本となります。テープ厚さは品種により異なり100~200μm です。
2. エキスパンド分割用ダイシング・ダイアタッチフィルム
- プラズマ照射によるウェハー切断後に、ダイシングテープをエキスパンドすることでDAF を分割します。DAF 分割性が良好なため、容易に半導体チップ+DAF のピックアップを可能とします。
- 形状は円形のDAFがダイシングテープに貼合された状態でロール状となっています。長さは100m/巻が基本で、テープ厚さは品種により異なり100~200μmです。
展示会出展予定
2017/3/14~16 に開催される「Semicon China」への出展を予定しています。