リチウムイオン電池用銅箔50枚のレーザ溶接に成功
〜リチウムイオン電池の大容量化に貢献〜
当社はリチウムイオン電池用銅箔のレーザ溶接に成功しました。レーザによる接合では初めて50枚の貫通溶接を達成しました。この技術により、リチウムイオン電池の小型化、大容量化に大きく貢献します。本技術に関して2018年12月5日から7日に開催されるPhotonix 2018へ出展予定です。
背景
近年、ハイブリット自動車や電気自動車などの駆動用電源、スマートフォンやタブレット、モバイルPCのバッテリーとして、大容量リチウムイオン電池の需要が増加しています。リチウムイオン電池の容量を大きくするためには、負極に使われている銅箔の枚数を増やし、表面積を広くする必要があります。しかし、銅箔は極めて薄く、多数の銅箔を重ねて溶接する際に溶接欠陥が発生しやすいため安定した溶接技術が求められてきました。
一方で、当社は銅箔、銅条などの銅製品を提供するだけでなく、ファイバレーザによる高品質で安定的な加工と組み合わせることでソリューション展開を進めてきました。その一環として今回、銅箔のレーザ溶接技術開発に取り組みました。
内容
このたび当社は、レーザアプリケーションラボにおいて、厚み8μmの電解銅箔(当社製品:NC-WS)50枚を欠陥なく安定して溶接することに成功しました。
一般に、レーザを用いて銅箔を溶接する場合は、レーザ光のパワーが高すぎると銅箔に破れや穴などの溶接欠陥が発生します。一方で、レーザ光のパワーが低すぎると重ね合わせた銅箔の最下層までレーザが届かず、溶接プロセスが進まないという問題がありました。今回、当社製1.3kWシングルモードファイバレーザ(FEC1300S)および「ビームモード制御技術」を用いた銅箔溶接における最適なビームモード形成により溶接に成功しました。
レーザアプリケーションラボ(当社千葉事業所:千葉県市原市)
現行のファイバレーザよりもフットプリントを50%小さくした小型6kWマルチモードファイバレーザやハイパワーレーザ用加工光学系など、最新のファイバレーザ加工設備を新たに取り揃えました。今回開発した技術を含め、ビームモード制御技術、各種モニタ技術などを通じて、お客様の課題解決に貢献致します。