耐熱性に優れた無酸素銅条「GOFC」増産へ
~良好な熱伝導と優れた耐熱性でお客様に価値を提供~

2018年9月20日

このたび当社は、無酸素銅条(C1020)の耐熱性を向上させた「GOFC」の増産体制を整えました。
この製品は、自動車用パワーモジュールの基板やその周辺部材の材料として開発に成功し、昨年(2017年)の4月に上市しました。今後、お客様の厳しい長期信頼性試験の規格を満足し、材料認定を頂きながら、数量増加のご要請に応えて行きます。

背景

PHVやEV化の進展で駆動用モータの採用が進み、パワーモジュールの需要増に伴い、その電力の変換・制御を行うパワー半導体デバイスの搭載が飛躍的に増える見込みです。この半導体チップを載せる絶縁基板の多くは窒化アルミニウム(AlN基板)や窒化ケイ素(Si3N4基板)が使われ、無酸素銅条は「回路形成と放熱」の目的で接合されます。その際、比較的高温(約750~800℃)で熱処理されるため、無酸素銅条の結晶粒径が粗大化することで次工程の検査精度が低下したり、めっき後の外観が悪化するなどの課題がありました。この用途のお客様からは耐熱性の高い無酸素銅条が望まれていましたが、それ以外の用途の拡がりからも、無酸素銅条(GOFC)の増産のご要望がありました。

内容

耐熱無酸素銅条「GOFC」は、絶縁基板成形時の「結晶粒粗大化の抑制」により、次工程における半導体チップのボンディング後の検査工程や、チップとのはんだ接合部分のSAT(超音波顕微鏡)による検査工程が容易になります。そのため、一般的な無酸素銅よりも検査精度が向上し、パワーモジュールの信頼性向上に寄与、品質安定性の確保に貢献します。
また、「GOFC」は添加元素で耐熱性を維持させていないので、多くのパワー半導体に使われているC1020(JIS H 3100)に準拠しています。そのため、お客様での切替・承認手続きが容易です。
絶縁基板以外の用途でも、高温拡散接合や銀ロウ付けを行うアイテムでは、次工程での曲げ加工時に銅材内部の結晶粒径が粗大だと「ザラザラした表面」(いわゆるオレンジピール)となるためにめっき後の外観が悪化します。「GOFC」はその粗大化抑制効果により、表面性状を維持することができます。

今後、パワー半導体がその効率化の追求から作動温度が高温化していく中、高い熱伝導率を持つ無酸素銅が活躍します。無酸素銅には、その高い熱伝導率や接続信頼性の維持から「高純度」の要求と相反する「耐熱性」が求められています。この特性が両立できる耐熱無酸素銅条「GOFC」は、お客様の課題を解決し、製品価値を高めることに貢献します。

環境対応について

この製品(無酸素銅)は「地球温暖化防止」に寄与する機能を有するとして、当社独自で環境調和製品(eフレンドリー)に認定しています。